夏目血風録

第28話

2013年11月11日(月) 掲載全32話中 28話目

前回は11月4日21:14参照

「もしもし…」
エビス丸への電話は、思いのほかあっさり繋がった。

時が風化させたのか特に気まずさもなく、駅前の店の秘宝伝が出ているか ら手
伝ってほしい事を伝えた。

相変わらず金欠だったらしく、すぐに交渉は成立した。

翌日の朝、エビス丸は葛西にやってきた。

出玉感があったように見えたのでとっさにエビス丸を召集したが、蓋を開 けて
みれば秘宝伝に設定5が何台か入る程度の内容だった。

結局二人で朝から打つも秘宝伝の設定5狙いで勝てる訳もなく、あっけな く惨
敗した。

夏目「なんかわざわざ呼んだのに悪かったね…」
エビス丸「というかね、俺の通ってる地域に来た方がいいよ! 全6とか当たり
前だし。」

全6…?
全くピンとこなかった。

エビス丸「例えば、おそ松くんが6台設置してあるでしょ? それが全部設定6
だったりするんだよ」
夏目「え、ええええ!? それ、ほぼ勝てるでしょ」
エビス丸「まあね。ただ人多いし競争率も高いけど…。とりあえず今度来 てみなよ」

俺にはこの話が信じられなかった。
なぜなら今まで全台設定6の店など見たことなかったし、知らなかったか らだ。

半信半疑ながらも、早速次の日、エビス丸の通っている 地域に向かった。
そこは葛西から電車で一時間ほどの神奈川県。
神奈川県は朝9時オープンなのだが、抽選を引かないと厳しいとの事だったの
で、満員電車でクタクタになりつつも、8時に到着した。

この日は通常イベントで、彼曰く人が全然いないとのこと。
とは言え、並んでいる人数は50人以上。
エビス丸にレクチャーされながら抽選を引くことになったが、更に新たな 衝撃
があった!

エビス丸「じゃあ次はあっちの店で引こうか。」
そう、実はこの地域は駅を中心に10店舗近くあり、抽選時間が店によって違って
いた。
つまり、要領良く動けば複数の店舗で抽選を引くことができるのだ。

エビス丸と3軒で抽選を引くも結果は芳しくなかった。
エビス丸「全部ダメ。一ケタ引かなきゃ話にならん!」

この地域が他の地域と圧倒的に違う点は、朝一に高設定を示唆する札が刺 さっ
ていることだった。
さらに、昼や夕方にも高設定シマや確定台が告知されるので、その台に座 るた
めに多くの店で抽選を引くことが重要とのことだった。

しかし、開店と同時にそんなことにはお構いなしに俺は好きな台を打ち始 めた
(笑)。
いくら優良店でも、適当に打って勝てるほどパチスロは甘くはない。
気がつけば、いつも通り負けていた。
適当に番長を打ったりしたから、当たり前なのだが…。

夏目「あー、また負けるのか」

すると、ある店で2分の1の確率 で設定5、6を示唆するような札が刺さった「主
役は銭形」が目に止まった。
さらに、4000枚お持ち帰りの一番出ている台が空いていた。
銭形は711枚の大量獲得機で、高設定ほど565G以内に当たる仕様である程度はさ
すがに知っていた。

履歴をポチポチするとまさにそれ!

ほとんど打ったことはなかったが、札に後押しされ打つ ことにした。

すると安定した挙動で、あっという間に3000枚に達した!
この機種は3G連と1G連があ りBIGが連打した時の出玉スピードは半端なかった。

しかしその後、1500枚ほど出玉を飲まれて無性にやめたくなった(当時は高設定
を回せば回すほど理論的に出るとは、分かっていなかった)。
さらに、睡眠不足が祟り、過剰な店員のマイクの煽りがうるさくてイライ ラし
始めた。

そんな環境にも負けず粘り切り、3000枚の出玉を無事流したのだった。
今までの地域と違い、札告知によるアシストは大きく、とてつもない衝撃 を受
けた。

エビス丸も祭りの達人で勝ったらしかった。

夏目「この地域めちゃくちゃ出てない!?」
エビス丸「だろ!? 明日もイベントらしいけど行くだろ?」
夏目「え…明日は…」

実は次の日は学校の授業があり、今まで1日足りとも休んだ事がなかっ た。

夏目「まだ、わからないけど今日はこのあたりに泊まるよ」
エビス丸「じゃあ来るなら連絡してくれ」

俺は疲れも溜まっていたので近くのビジネスホテルに泊まることにした。
授業に出るか、夢のような地域でパチスロを打つかの2択を迫られ、激動 の一
日が終わりを告げた…。

つづく。

出典: パチマガスロマガ「決死のパチスロサバイバル日本縦断編5」内の不定期連載「夏目血風録」(2013年11月11日(月) 掲載)。 本文は当時の掲載どおりで、書き換えていません。