夏目血風録

第26話

2013年10月28日(月) 掲載全32話中 26話目

前回は10月21日12:31参照

同じ作品に出演することになった女性…仮に瞳と呼ぶことにしよう。
瞳とはチームが同じ事もあり、撮影や授業以外でも一緒にいる時間が増えていった。

ご飯を食べたり、映画を観に行ったりと普通の事をしていただけだったが、一緒にいる時間はとても楽しかった。

瞳は四国から上京してきており、実は最近までは女優を辞めようかどうか、悩んでいた事を俺に打ち明けてくれた。

さらにこの時期は学校を辞める者が多く、瞳と仲が良かった友達も次々と辞めていったのもショックだったようだ。

「みんないなくなっちゃうね…。」
そう言った横顔はとても寂しそうだった。

「…夏目くんは辞めないよね?」そう聞かれた。

俺は考えた事すらなかったので
「俺は辞めるつもりは一切ないよ!!」と言い放つと、瞳はどこか安心したようだった。

俺自身、俳優としての力のなさは十分に分かっていたが、他にすることもなかったので辞める理由がなかったというのも大きかった。

そうしているうちに撮影も無事に終わり、季節は冬を迎えようとしていた。
瞳とは付き合っている訳ではないが、撮影が終わった後も会う日々は続いた。

しかし、俺には悩んでいる事があった。
実は…。パチスロを禁止にしたはずだったが、我慢できずに何度か打ちに行っていたのだ。

さらに負ける事が多くなり、貯金が見る見るうちに減っていった。

部屋にパチスロ禁止という貼り紙をしたり、実機を購入すればパチスロに行くことがなくなるだろうと購入するも失敗したり(ちなみに真・モグモグ風林火山を買った)、という日々だった。

パチスロの誘惑にすら勝てずに貯金を減らし続けることに俺は苦しんでいた。
行っては行けないと思いつつも行くのが嫌だった。

そして、いよいよ貯金も底を尽きかけようとしたその時、奇跡が起こった。

専門学校の近くのホールに閉店間際に設定6に札を刺して告知している店があった。
その日はたまたま学校帰りに立ち寄ったのでどの台が設定6か確認でき、翌日はその店の月1イベントという事もあり、朝から打ちに行った。

この店は駅前のパチスロ専門店で、客層は甘かった。

俺はこの店で真・モグモグ風林火山を打ち、万枚を2回出していて、かなりお気に入りだった。この日は特に根拠もなく前日の設定6確定の秘宝伝を打ち出した…。

すると! 朝イチにチャンス目を引かずに…

デデデデーン!!

なんと、高確率に突入したのだっ!!

えっ?
当時は変更判別やリセット等には全く無知だったので、この状況が把握できなかった。

これって多分据え置きってことだよな…。
自信はなかったが、そんな気がしたのでブン回した。

朝一の伝説はすぐに抜けたものの、コンスタントに高確率に入り、設定推測要素の一つであるBIG中のハズレとスイカの数値も高設定そのものだった!!

途中伝説ロングが続き設定5かもしれないと思い不安になるも、安定した挙動で終日打ちきり5000枚オーバー!

朝一に据え置き挙動をした経験は初めてだった事もあり、この日の出来事には衝撃を受けた。

そんな幸運もあり、一文無しになることだけはかろうじて回避できた。
こうして首の皮一枚繋がった夏目であった。

…つづく。

出典: パチマガスロマガ「決死のパチスロサバイバル日本縦断編5」内の不定期連載「夏目血風録」(2013年10月28日(月) 掲載)。 本文は当時の掲載どおりで、書き換えていません。