夏目血風録

第24話

2013年10月14日(月) 掲載全32話中 24話目

前回は10月7日18:30参照

2006年8月某日

俺は鳥取県の公園に身を潜めていた。

ちょうど死角になっているため外から発見される心配はなかったが、いつ謎の男に見つかるか分からない状況に、物音一つにさえもビクビクしていた。

とりあえず呼吸も落ち着き、これからどうするかを考えた。

時刻は深夜2時。

謎の男に見つかることを恐れ、下手に行動するのは危険だと判断。

8月という事もあり、夜の公園は寒さを気にする必要もなかった。

そこで俺は野宿をすることにした。

野宿の経験はなかったが、全力で走っていたので体力は限界だった。

リュックを枕にし、横になる…。

しかし簡単には寝つけなかった。

目をつぶっても蒸し暑さですぐに目が覚めた。

更に考えてみると、深夜の公園が怖い事にも気づく。

もはや野宿どころではなかった。

そこで、辺りも明るくなってきたところで、公園を後にすることにした。

散々な目に遭ったこともあり、すぐに鳥取県を脱出したかったが、何もしないのも嫌だったので、駅からタクシーで鳥取砂丘を目指した。

実際駅から砂丘までは結構な距離があった。

鳥取砂丘に到着すると、そこはまさに映画でよく見る砂漠そのものだった。

ラクダに乗ったりできるようだったが、1人ではしゃぐ元気は持ち合わせておらず、デジカメで景色を撮りながら少し歩いた。

俺はろくに睡眠もしておらず、更には体調が悪化していたこともあり、そのまま静岡に帰ることにした。

肉体的にも精神的にもボロボロになったので、しばらく旅は控えようと心に決めた。

そして、この出来事を誰かに伝えたいと思い、駅まで田吾作に迎えに来てもらった。

田吾作は楽しそうに俺の話を聞いてくれたが、その表情はどこか寂しげだった。

彼は、静岡に残り、9月から就職する事を決めていた。

東京に未練はあるが、これが彼なりに悩んで出した答えだった。

数ヶ月東京で暮らし、一緒に遊んだ友達がいなくなるのは悲しかったが、俺は止める事も出来ず、友の話を黙って聞くことしかできなかった。

こうして、19歳の夏は終わりを告げた。

…つづく。

出典: パチマガスロマガ「決死のパチスロサバイバル日本縦断編5」内の不定期連載「夏目血風録」(2013年10月14日(月) 掲載)。 本文は当時の掲載どおりで、書き換えていません。