夏目血風録

第9話

2013年7月10日(水) 掲載全32話中 9話目

前回は7月2日21:05参照

2006年2月。
パンク状態の夏目青年はエビス丸の道案内役として東京に行くことになった。

理由は大学を視察する為。実はこのエビス丸、模擬試験で京大のA判定を貰う程の秀才。
大学も選び放題という状況だったため、実際にキャンパスを見たいとの事だった。
目的地は八王子だ。

道案内役の俺も八王子には行ったことがなかったが(笑)。

当時のエビス丸は羽振りが良く、そんなことは気にせず連れていってくれた。結局、大学までは新幹線→電車→タクシーだったので迷う事もなかった。

ちなみに俺が土地勘があった理由は、静岡から俳優の勉強をしに通っていたから。もっとも、渋谷、原宿など、よく行く場所しか知らなかったが…。

そして、大学に到着。その大学のキャンパスはとても広く、綺麗で進学するつもりのない自分でさえも羨ましく思った。

大学を1時間ほど散策するとエビス丸はパチスロが打ちたいと言い出した。
金がない夏目青年だったがエビス丸に金を恵んでもらえるチャンスだと思い付き合うことにした。

とは言え東京のパチンコ屋など知るはずもなく、適当にパチンコ屋の看板が多い地域に流れついた。
そして2人は立地的に目立つ大型店で実践する事にした。
すると、エビス丸は「おそ松くん」を打ち出し、サクッと6人見つけて3000枚出すという離れ技をやってのけたのだ!!

一方、俺は種銭がないのでホール内をウロウロしていた。

暇だなーと思っていると、
エビス丸
「パチスロ打つなら金を貸してあげてもいいよ!」

お…!

その話ノッた!!

さすがにタダで打たせてはくれず、7000円ほど借りて打つことになった。

しかし、実は家にあったマンガやゲームソフト等も売りつくした状況で、これ以上は負けられなかった。

選んだ機種はバカの1つ覚えで「北斗の拳」だった。
必死に初当たりを引くも、7000円が返ってくる事もなく無惨にも力尽きた。

そして、「エビス丸と一緒にパチスロを打つから俺のヒキを吸われ負ける」という意味不明の怒りも湧いてきた。今思えば、金まで借りておいて、完全に八つ当たりだ。

わざわざ東京に行き、さらに借金まで作って、完全に自己嫌悪に陥る俺。

ちなみに、エビス丸は素早く静岡に帰り、夜から「燃えろカンフーレディ」を打ち、再び3000枚出していた(笑)。

…なんなんだコイツは。

こうしてエビス丸に対する嫉妬と怒りと共に、パチスロにより人生のドン底に追い込まれて行く夏目青年だった…。

つづく。

出典: パチマガスロマガ「決死のパチスロサバイバル日本縦断編5」内の不定期連載「夏目血風録」(2013年7月10日(水) 掲載)。 本文は当時の掲載どおりで、書き換えていません。