前回は12月9日22:56参照
エビス丸に寮を借りることにより、俺のパチスロ生活はさらに本格的になっていた。
そして、やはり毎日ホールをチェックすることで高設定をツモる回数も増えていった。
時には軍団や常連と狙いが被り、台を奪い合う事もあった。
しかし軍団との力の差は歴然だった。
全6シマのあるイベントは様々な機種に散らばり、全6シマが分かるまで1Gも回さないのは当たり前だった。
また、あるイベントでは店員に難癖をつけ、抽選関係ナシに軍団が全員先頭で入場するなんて事もあった。
俺は憤りを感じていたが、当時の自分にはなす術がなかった。
そんなある日、深夜1時に激戦区から見慣れぬメールが届く。
「…突然ですが。」
そう始まる会員メールは明らかにいつものとは違ってい た。
そもそもこんな深夜にメールが来ること自体初めてだ。
内容を見ると
「全6シマ、全56シマ複数あり。さらに全館1/2で設定5、6」
とありえないような告知がされていた。
メール到着から数分後…電話が鳴る。
「明日、イベント行くでしょ!?」
それは静岡に帰省しているエビス丸からの突然の電話だった。
彼曰く、このイベントはこの地域でもっとも アツいイベントらしく、おそ松くんや主役は銭型といったハイスペックを 取れれば鉄板で全6との事だった。
そして、この抽選には300人近くが集まるとの事。
かなりの混雑が予想され、6時半には並ばなければ抽選すら引けないらしい。
しかし、エビス丸は静岡なのにどうするつもりだ…?
そんな事を思いながら、翌朝6時半にホールに到着。
そこには早朝にも関わらず、既に100人を超えるスロッターが集結していた。
最後尾に並ぶエビス丸を発見し近づくと、懐かしい声が聞こえた。
「おっ! 元気だった!?」
なんと、そこにいたのは田吾作だった。
どうやら半年ほど静岡で働くも、東京での生活が忘れられず、ヱビス丸からホールの情報を聞き、仕事をヤメ再び上京したとのことだった。
思わぬ再会に喜びつつも、俺たちは異変に気付いた。
少し前には100人ほどしかいなかった並びが、気がつけば200人近くまで膨れあがっていた…。
横入りだ。
しかし、店員も軍団に逆らえず見て見ぬふり。
そんな中、整理券配りが始まった!
この店は一定人数しか抽選を引けない事もあり、長時間並んでも抽選すら引けないこともあり得る。
抽選に参加する為にはこの整理券が必要なのだ。
枚数は250枚…。
位置的に俺達はギリギリ引けるか引けないかといったところにいた。
緊張しながら待っていると、「間もなく整理券配布終了となります!!」という声が聞こえてきた。
その瞬間、整理券を配る店員に並んでいるスロッターが一気に押し寄せた。
我こそはとお構い無しに大勢の人間が店員目掛けて襲い掛かってきたのだ。
店員は押し潰され、瞬く間に整理券は無くなった。
最初は何が起きたかわからずにいたが、状況が理解できると怒りがこみあげてきた。
それは早起きして2時間近く並んだにもかかわらず、抽選に参加できないということを意味していた。
田吾作、エビス丸も夜行列車を使って静岡から来ており、苛立ちを隠せずにいた。
抽選も終わり途方に暮れていると、軍団が20枚を超えるであろう入場券を所持していた。
リーダーの男が仲間に番号を配り終わると、まだ何枚か整理券が余っている様に見えた。
俺達以外にも抽選を引けなかった人間は大勢いた。
そんな中、軍団の余った整理券を貰おうと様子を見ているスロッターもいた。
しかし軍団は、それをあざ笑うかのように余った整理券を破り捨てたのだ…。
まさに弱肉強食といった光景だった。
その後、俺らは一般入場するも全台満席で打てる訳もなく、近隣のパチンコ屋で仕方なく打つことにした。
しかし、それで勝てるはずもなく全員が大敗。加えて、田吾作とエビス丸に多額の金を貸し、俺の金も底を尽きかけていた。
気がつけば夜。
先ほどのイベントの店に向かった。
そこには高設定を示唆する札が至る所に刺さり、打ち手のほとんどが大量のドル箱を積み上げている光景があった。
どの機種も桁外れに出ていたが、中でも目に止まったのが全6を示唆する札のコーナー。
まさに全台お祭り状態。
そして打っているのは、やはり見覚えのある常連ばかりだった。
帰り道、俺は田吾作とエビス丸に胸の内を明かした。
「俺はパチスロで勝って自由な生活を送りたい、だから勝つために本気でパチスロと向き合いたい。」
エビス丸と田吾作も今の生活から脱出するにはパチスロで勝っていくしかないということはわかっていたようで、勝ちたいという想いは一緒だった。
こうして、俺達はパチスロで勝ち組になることを目指し、パチプロへの険しい道を歩むことになるのだった。
【完】
編集部より
「血風録」はこれにて最終回となりました。
ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
出典: パチマガスロマガ「決死のパチスロサバイバル日本縦断編5」内の不定期連載「夏目血風録」(2013年12月30日(月) 掲載)。 本文は当時の掲載どおりで、書き換えていません。