試合まであと1日半くらい。眠いのに寝つけなくて、動画を回しました。緊張はあるし、怖い。でもこのとき僕は、生きてきた中で一番楽しいことができてるなって、はっきり思ってたんですよ。
「やるしかない」まで持ってこれた
少し前に「公園で僕は病んでる」っていう動画を撮ったくらい、気持ちが揺れた時期がありました。でもそこから覚悟みたいなものが決まって、試合前夜はすごくいい状態でした。この1週間は、試合に向けた気持ちの持っていき方がすごく勉強になりましたね。
今さら何かやったところで変わることなんてない。それより、試合に出るためにずっとコツコツ準備をしてきたんで、もうやり残したことはないんですよ。あとは時間が来てやるだけ。怖さはあるけど、「やるしかないな」というところまで持ってこれた。これが良かった。
結局、試合では今までやってきたことが全部出ると思うんです。やってきたことのない動きは本番で出ない。きっと積み重ねが出る。強かった部分も弱かった部分も全部含めて、一発勝負の中に人生の積み重ねが出るんだろうなと。そう思うと、あとは時間を待つだけでした。
やってることはパチスロの時と同じなんですよ
面白いのが、格闘技への向き合い方が、パチスロを打ってた時と全く同じだということです。
パチスロで稼いでた頃、僕はほぼ休まず毎日やってました。勝てるならどんなことでもする。朝から並ぶし、遠くの店にも行くし、人も使う。格闘技も同じで、ほぼ毎日休まず練習して、強くなるために遠くのジムに行って、いろんな人にお願いして、勉強して、お金もちゃんと使う。やってることは変われど、向き合い方が変わってないんですよ。
だから僕の中では、全部つながってるんです。パチンコ・スロットをやって、投資をやって、今格闘技をやってる。稼ぐために色々やってきた時間があるからこそ、今好きなことを見つけて夢中になれてる。もし普通に生きてきて格闘技を始めてたら、多分こうはなってなかった気がするんですよね。この過程を経たからこそ、この状況になれた。
試合って、自分のやってきたことが正しかったかを証明する場でもあるんですよ。積み重ねの証明、生きた証。それを試合という表現の場でできるのが、すごく嬉しいんです。
楽して勝てる試合には出たくない
出たのはワンデートーナメントで、勝ち上がれば1日に複数試合をこなす形式です。全部勝てばプロになる査定みたいな意味もある大会で、プロを目指してるような人が来る、割とレベルの高いところです。
しかも面白いのが、僕が1回戦を戦って体力を消耗した状態で、2回戦の相手はシードで体力満タンで出てくるんですよ。すごい話ですよね。めちゃくちゃハードです。
でも僕は、だからこそエントリーしてるんです。楽に勝てる相手がいないからこそ楽しい。楽して勝てる試合に出ても、多分楽しくないし、どこか後ろめたさがあると思うんですよ。だったら本気の人が来る大会で戦いたい。
「楽しい」の正体は、初めての経験
この楽しさって、はしゃぐような楽しさじゃないんです。考えてみたら、楽しかったことって初めての経験なんですよね。初めての夏休み、初めて東京に来た時、初めて海に行った時。
僕は試合の日を迎えるのがまだ2回目で、こんなに怖かったことも、何か1つのためにこんなに時間をかけたことも、人生でなかった。だから楽しいんだと思います。野球もマラソンも駅伝もやってきて、バッターボックスやスタート前の緊張は知ってますけど、殴り合いの緊張は別物です。シンプルに、痛いし、死ぬかもしれないという恐怖がある。だからこそ感情がこんなに動く。
そして、これは何回も重ねたら慣れて薄れていく気がするんです。この歳でこの経験ができるのは多分限られてるし、これが最後になる可能性だってある。だから動画に残しました。残したいと思えるくらい感情が動くこと自体が、すごくいいことなんですよ。普通に生きてると、感情ってそんなに動かないじゃないですか。
今が一番楽しいと思えるのは、幸せなことかもしれないですね。今までやってきたことがつながってると思えて、楽しいことが作れてる。これがもう間違いないです。
記事内Q&A
Q. 試合前の恐怖はどうやって乗り越えたんですか?
A. 乗り越えたというより、「やるしかない」まで持っていった感じです。根拠は準備です。ずっとコツコツ準備してきて、やり残したことがない状態にしたから、あとは時間が来るのを待つだけになった。恐怖を消すんじゃなくて、後悔の種を先に消しておくんですよ。
Q. パチスロの経験が格闘技に役立つって本当ですか?
A. 本当です。技術じゃなくて向き合い方が同じなんですよ。勝てるならどんなことでもする、毎日休まない、人にもお金にも頼る。パチスロで稼ぐためにやってた行動パターンをそのまま格闘技に使ってます。何をやるかが変わっても、向き合い方は資産として残ります。
Q. なぜわざわざレベルの高い大会に出るんですか?
A. 楽に勝てる試合は楽しくないし、どこか後ろめたいからです。本気でプロを目指す人が来る場所で戦うから、勝ちに意味が出るし感情が動く。僕にとって試合は、積み重ねてきたことの証明の場なんで、相手が強くないと証明にならないんですよ。